「何するつもり?」
「唯香は映画観とけばいい」
「で、でもせっかく健斗が買ってくれたものなのに、私ばっかり食べることになりそう」
「そのために買ったんだからいいだろ」
そのためにって、そんなの申し訳ない。
「なら今食べたい」
「あっ、うん……はい、どうぞ」
健斗が食べたいと言うから、私は彼にポップコーンの入った箱ごと手渡す。
だけど健斗は不機嫌な顔をした。
「違う」
「えっ……」
「今、手使えない」
「は!?」
それは健斗が手を繋いでくるからだ。
私だって片手しか空いていないから、箱を持つので精一杯。



