俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」

「リーバス、ちょっと目閉じてよ」

クリスタルが微笑む。俺は何も言わずに、素直に目を閉じた。

唇に柔らかな感触がする。俺はクリスタルの頭に優しく手を回し、何度もキスをした。

そうしている間に、馬車は城へと着く。俺とクリスタルは真面目な表情になった。

「クリスタル様、リーバス様!ようこそお越しくださいました!」

使用人たちが、俺たちを取り囲む。大勢の人間に囲まれ、王族は相変わらず大変だなと俺はクリスタルを見つめた。

「クリスタル様、お召し替えはなさりますか?」

使用人の一人が、クリスタルにドレスを差し出す。やはり、ズボンを履いていることが気になるのだろうか。

「結構です。このまま会いに行きます」

クリスタルは淡々と答える。早く用事を済ませて城から出たいという空気が伝わってきた。まあ、それは俺も同じなのだが…。

「そうでございますか…」

使用人たちは、それぞれの仕事に戻っていく。やっと解放された。

「やっぱり、十年単位の溝は深いなぁ」

クリスタルが呟く。クリスタルは影の王女として、存在を無かったことにされていた。王や大臣たち、使用人からは不名誉な存在として見られていたのだ。その時の傷が、今も残っている。

「お前のいる場所は、ここではないだろう」

俺はそう言って、クリスタルの手を握る。

「早く終わらせて、どこかへ遊びに行こう」

「うん!デートスポットも調べて来たしね!」