俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」

立場でいえば、私はフィリップ王子と一緒にいなければならない。でも、私は……この恋が一番幸せだと知っているから。

「フィリップ王子、わざわざご用意していただき、ありがとうございます。しかし、私は二等車両に乗りますので」

もうすぐ列車の発車時刻だ。私は頭を下げ、リーバスの手を引いて列車に乗り込んだ。



列車に二人が乗り込んだのを見て、俺は微笑む。列車にいる間は、二人に目をつけていなくても大丈夫だろう。俺は窓の外を見つめた。

全く、あの二人は甘すぎて吐き気がする。刑務所のメシの方がマシだな。

今だって、ちらりと前方を見れば楽しげに会話をしながら手をしっかり握っている。そして、時々リーバスがクリスタルの頭にキスを落としているしな…。

幼なじみのロビンは、リーバスに隠れて泣いている日もあるというのに、この二人はのん気なものだな。

ロビンをこっそり見ていると、戦場で勇ましく戦っていたとは見えないほど脆い。裏路地の壁にもたれて、「気づいてよ、馬鹿…」と口ぐせのように呟いてるしな。

まあ、もうすぐロビンとも接触してみるか…。

流れていく景色を見ながら、俺は思った。



三時間ほどの列車の旅を終え、俺とクリスタルは国王が用意してくれた馬車に乗り、城へと向かう。

「はあ〜。時間を早く進められたらなぁ〜」

そう言ってため息をつくクリスタルを、「おい」と呼んで膝の上に乗せる。「えっ!?」とクリスタルが驚いた。

俺は柔らかなクリスタルの髪を撫でる。

「しばらく、こうしていてもいいか?」

会ったことがあるとはいえ、やはり緊張するものだ。

クリスタルに触れていると、少しは落ち着く。やはり人肌は落ち着くのに効果抜群のようだ。