俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」

「別に赤くなってなんかない!」

「またまた〜。りんごみたい!」

からかってくるレムにさりげなく拳を入れ、俺は交番に向かって歩く。背後から潰れたカエルのような声が聞こえてくるが、それは無視しておこう。

交番に着くと、制服に着替え、デスクワークに取り掛かる。警官が交番に入れば、何かしらの事件を誰かが持ってくる。

「すみません、これ拾ったんですけど…」

財布を拾ったというスーツの男性や、飼い犬を見なかったかと訊ねる女性(レムが目を輝かせて捜索に向かった)。

パトロールでは、違法薬物を所持していたカップルを逮捕したり、今度は本物の痴漢を逮捕した。

「まあ、戦時中に比べたら、だいぶ事件減ったよなぁ」

休憩中、レムがコーヒーを片手にぼんやりと天井を見つめる。俺は「そうだな」と頷いた。

戦時中は物価の上昇で貧しい人々が、万引きや強盗に手を出すのは日常茶飯事だった。さらにひどいと違法薬物売買や、人身売買に手を染めてしまう。あの戦時中にどれほどの犯罪者が生まれたのだろうか。想像すらもつかない。