「ん…。ありがとう」

クリスタルが安心したように笑う。俺はそっとクリスタルに触れ、キスをした。

子供たちがまた騒ぎ出したが、もう意識は完全にクリスタルにしか俺は向いていない。

何度も、何度も、キスをする。

夕焼けが、孤児院の道に唇を重ねる二人のシルエットを描いた。



今日も、偽りの愛の時間がやって来る。

セーラは両想いになったと舞い上がって、面会に来る日が前以上に増えた。少しでも時間があればすぐにやって来る。

正直言って、殺したいくらいにウザい。必ず「私のこと、好き?」と毎回のように聞いてくる。うっとおしい。

しかし、俺は我慢しなければならない。こいつの協力なしでは、俺はここから逃げ出すことができないからだ。

「ジャック〜!今日はパイを持ってきたよ!食べて〜!」

甘ったるい笑顔と声で、セーラは手作りのパイを渡す。

「わぁ〜!おいしそうですね!」

心にもないことを言い、セーラのご機嫌をとる。とりあえず否定さえしなければ、セーラはご機嫌なのだ。チョロい。つまらない。ここから出たら、こいつともオサラバしよう。