俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」

「ママ〜!!ママのお友達がチューしようとしてる!!チューだよ、チュー!!」

その声に驚いて、リーバスと私は同時に顔を離す。

リリーの子どもが目を輝かせながら、私たちを見つめていた。気まずい空気になっていく。私とリーバスは苦笑いするしかない。

「こら!モニカ!そんなことを言わないの!」

慌ててリリーが奥から飛び出してきて、モニカちゃんを叱る。

私と一緒に遊びまわった女の子は、今は立派なお母さんになっていた。

「お待たせしました。シフォンケーキと紅茶です」

あの時と変わらない笑顔で、リリーは笑った。



牢獄の面会室では、セーラが質問をして俺が答えるということが続いていた。

黙々とセーラは仕事をこなす。俺の言葉に耳を傾け、一生懸命メモを取る。

「あなたはギール人ですか?」

俺が訊ねると、セーラは「はい」と頷く。その表情は、部屋に入った時より和らいでいた。俺に心を許し始めているようだ。俺の演技力もなかなかだな。

「ギール人にしては日焼けをしているようなので、少し気になりまして…」

ギール人の肌は白い。しかし、セーラはかなり日に焼けていた。左手には……薬指に指輪の痕がくっきりとついている。

「ああ…。少し前に南国へ取材に行ったんです。きっとその時に…」