シンファは私より二つ年下の幼なじみ。女子と一緒に遊ぶことよりも、私たち男子と一緒に鬼ごっこやかくれんぼをする方が多かったネ。

中学生になるまで、私はシンファを「女」としては見てなかったヨ。言葉遣いも男っぽくて、料理はできない。おしゃれとは無縁の娘だったからネ。

でも、中学生になってシンファは変わったんだヨ。ただ伸ばしておくだけだった長い黒髪をきれいに結うようになって、料理やおしゃれをするようになったネ。言葉遣いも女っぽくなっていったヨ。

そして、男子から離れて女子と仲良くするようになったんだヨ。

シンファは一日が終わるたびに美しくなっている気がしたヨ。まるで、蛹から美しい蝶が生まれるように、シンファは「女」になった。

シンファが美しい娘になるのは、私も嬉しい。けど、寂しいと思う自分がいたんだヨ。

シンファは男から告白されるようになって、私はただシンファを見ることしかできなくなったんだ。

その寂しさを誤魔化すように、私は勉学に励んだネ。そして、医療学校への進学が決まったヨ。家から遠い学校。私は家を出て、学校の寮へ入ることが決まったネ。

「私も、リーと同じところへ行く!リーと同じ道を歩きたい!」

シンファに別れを告げに行った時、シンファは私の手を掴んで泣きながらそう言ったヨ。

「医療はお前が考えてるほど甘い世界じゃないネ。私は人の役に立つためにこの道を歩くヨ。お前の道は、お前が決めるネ」