俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」

「どうしたんだ?大丈夫か?」

俺が声をかけると、クリスタルは無言で頷く。何かあったのだろうか。

「クリスタル、何かあったのか?言ってくれ」

俺はクリスタルの肩に手を置き、まっすぐ見つめる。しかし、その目は一瞬で逸らされてしまった。

デートをすれば話してくれるかと思い、俺は「行こう」とクリスタルの手を握ろうとする。しかし、クリスタルはその手を避け、一人で歩き始めた。その対応に驚き、戸惑う。

クリスタルをいつ傷つけたのだろうか。考えても、朝はクリスタルは笑ってくれていた。原因は何なのだろうか。わからない。

太陽は驚くほど早く沈んでいく。イルミネーションは色とりどりに輝き、道を照らす。

ゆっくり歩くクリスタルの隣に俺は並ぶ。クリスタルの横顔は、いつものような元気さも笑顔もない。

ナポール広場の片隅に俺はクリスタルを誘導する。ナポール広場は、あのルーファス・マーロンの所有地だ。ルーファスに許可をもらってプロポーズの準備をしてある。

広場の片隅には、木でできてた小さな机と椅子がある。その周りには、俺が用意した色とりどりの花が飾られている。

「座ってくれないか?」

クリスタルを椅子に座らせ、俺はクリスタルをまっすぐ見つめる。緊張して、言いたいことを忘れてしまいそうだ。

何度も深呼吸を繰り返す。普段なら、「どうしたの?」と訊いてくるはずだが、クリスタルは静かなままだ。

「クリスタル、俺と出会ってくれてありがとう。クリスタルがいてくれる日々はとても幸せで、時間を忘れさせてくれる。でも、これからももっとそんな時間を過ごしたい。…先に進みたいんだ」