衝撃的な痛みが頬に走る。


通りすがる人々が振り返る程のすさまじい音と共に……。



「悠は、そんな人だと思わなかったよっ!!」



そう言い放ち、目の前に居る彼女は、涙をこらえて、大学の校内へと消えた。



ため息を一つついて、平手で打たれた頬を、右手で触れる。



アイツと向き合う為には、気持ちの整理もつけなければいけなかった。



……じゃないと、アイツの側に“恋人”としては居られないから…。



もう家庭教師と生徒じゃなくて、一人の男として、側に居たいんだ。



思えば、出会った時から惹かれていたのかも…な?



「はーるーかちゃん!!一緒にランチ行こう?……くっくっ…ははっ!!悠ちゃん…」



大学の講堂の前で、頬を押さえて、たたずんでいる俺を見て、笑ったのは同じゼミの葵(アオイ)だった。



耐え切れずに大笑いしている。



何が面白い……!?