「だいちゃん、変わらないね。」

「咲良も全然変わってないよ?」

そうだよ。
引っ込み思案な性格も変わってないんだよ。
だけど変わりたいとずっと思ってる。
思ってるけど、なかなか上手くいかないんだ。

心の声は音にはならず、私は苦笑いをする。

それなのに、私は自分でもびっくりだけど、大胆発言をした。

「あの、あのね。このまま、嘘をついてもいい?」

「嘘?」

「お母さん末期癌で、手術しないとあと3ヶ月しか生きられないの。生きる勇気を持って手術してもらいたいから。手術が終わるまででいいから。私の嘘の彼氏になってください。」

こんなことをして、いいとは思っていない。
だけどお母さんを安心させたい、喜ばせてあげたい。
例えそれが嘘だとしても。

そんな気持ちから生まれた言葉。
嘘なのに、まるで告白したかのように心臓がバクバクいってもうのぼせてしまいそうだ。
そんな私に、だいちゃんはまた頭をポンポンとしてから、

「わかったよ。」

ふわりと微笑んで簡単に了承してくれた。

何だか罪悪感に苛まれながらも、私たちは嘘の恋人の契約を結んだ。