目の前の加害者弟がジリッと一歩一歩近づく

その左手にはキラリと光る刃物。

丸腰で来るわけないか、、、

視線だけ後ろの男へと向けると、同じく刃物。

まずは、目の前のコイツからいきますか。

私は、上半身を倒して左手を足蹴りし、体勢をそのままにみぞおちへ一発。

「、、、うぐっ、、」

うずくまる弟を確認すると、私は背後にいた男と向き合い構えた。

油断した。

起き上がった弟が私を背後から羽交い締めにした

背負い投げしようとしたとき、三人目の声が聞こえた

「なにやってんの?」

そう発した直後、目を見張る速さで二人の男を捕まえると、手錠をかけて通報していた。

え?なに?

刑事さん?

「あ、ありがとうございます。あのー、刑事さんですか?」

私を見下ろす目は冷ややかで、突き刺さるほどに鋭かった。


だけど、不思議と怖いとかそんな感情よりも、その纏う空気にすら見惚れてしまう位だった。