覿面に照れてしまった私を見て、慶太は呆れたように溜め息を吐いた。

「まったく、マスター、冗談ばかり言ってると永遠に一人ですよ?」

がさごそとビニール袋からお酒やら、氷を取り出すと手早く片付ける。

久しぶりに見る慶太は少し髪も伸びて、童顔なのに色気すら感じた。

「希、今日何時までいれる?」

「明日休みだから特には。」

「じゃあ、俺、12時上がりだから終わったら送ってく」

「うん。」

相変わらず心配性なのかな。

あれから私に遠慮してか彼女もつくらないし、いつも私のことを考えてくれる。

もう、大丈夫なのに。

私もいい加減、慶太離れしないとね。

一番は私に彼氏が出来ることなんだろうけど、果てしなくゼロに近いし。

「はい、どうぞ。」

「いただきます」

マスターが作ってくれたマリブパイン。

慶太が作るのより少し濃い

たぶん、これが本来の味。

慶太は私のために濃くしない。悪酔いしないように。