「体育館、大騒ぎだったみたいだね」
「はい。ホントに……」
体育祭の間、サッカー部は物凄くうるさかった。流石の湊も、朝からあれだけ騒いでいたら疲れたんだろう。私は、色々あったけれどこんなに楽しい体育祭は初めてだったと思う。しかも、自分は何もしていないのに、周りにいる人の多さと、賑やかさで疲れた。
疲れたけれど、昨年の文化祭の後、湊が部活に入れ込んでいた理由もわかった。サッカー部の皆は、すごく仲間想いだ。きっと学校の中で一番、湊が無理しないでいられる場所だったんだ。
そんな気持ちで視線を落とせば、眠る湊はバスケをしてた時と打って変わって可愛くて、愛おしくなる。瀧先生がこちらに背中を向けているのをいい事に、そっと湊の頭を撫でた。
「瀬川、大学どうするか考えた?」
「えーと……。まだ、です」
出来れば湊と離れずに行けるところがいい。実家から通えるところか、いっそ二人とも一人暮らしか、どちらでもいいけれど湊と遠距離恋愛にならない所、そんな程度の事しか考えていない。

