改札を通る時にも「そこにいた男の子カッコ良かった」と話す女の子達とすれ違ったのだけど、彼女達が振り返るのと、改札の近くの壁に寄りかかっていた湊が私に笑うのがほぼ同時で。
私の近くにいたその女の子達が、湊には聞こえない程度の音量ではあったけれど「やだ、こっち見て笑った」と歓声を上げた。
そんな事は露とも知らない湊は「とわ」と私を呼んで、いつもの様にある意味物凄い破壊力のある笑顔で笑うと、恐らく彼女達がまだ見ているであろう前で、改札を抜けた私の頭を撫でる。
「……お、おはよう」
「おはよ。とわ、今日 尻尾ついてる」
湊は笑って私のポニーテールを揺らしてから、こっちだよ、と いつも通りに湊は指を絡めて私の手を握る。
怖いよ。……後ろの女の子達の視線がすっごく怖いよ。
湊と付き合うのって……、好きとかそういうのだけじゃなくて……メンタル強くないと無理!
イケメンと付き合えた、きゃー、嬉しー、楽しー……なんて思考回路、私持ってないよ。好きな人と付き合えて凄く凄く幸せ……なのは、間違いなくて、そこだけは確かなんだけど。

