「凄いよ。脳筋って言うか、勝ち負けこだわりすぎだから。常時ガチ。今回の全員バスケも言い出したのアイツだもん」
聞こえてきた試合終了のブザーと女子の優勝が決まったその歓声に、完全にスイッチオフの湊は盛大にため息をついた。
「ねぇ、とわ。キスしていい?」
「……今?」
今ここで? 誰か来るかもしれないのに?
「うん、今」
ちらりと幕の合間に視線を向けて誰も居ないことを確認したのか、湊は私の頬に手を添えると唇を重ねてきた。
一度離れたそれに、恥ずかしくて顎を引くと、追ってきた湊にもう一度唇を食まれる。気を抜いたら深くなりそうな気がして、軽く湊の肩を押し返すように抑えると、やっと唇が開放される。
間近で目が合った湊は、少し物足りなさそうな表情をしていた。
「続きは……後で、ね?」
「……ん、寝たし、とわとキスしたし、ちょっと元気でた。行こっか。応援してね?」
元気出たと言いながらも、相変わらずスイッチはオフのまま。それどころか、眠たいからか普段に輪をかけてゆるいテンションの湊は、欠伸をしながら立ち上がって私に手を差し出した。

