湊に満さんのフリをするのを辞めさせて、友香さんから湊を解放して、そして湊のそばに寄り添うのは……私じゃないと嫌だ。

 私が湊のドリンクボトルを持っているから、湊はインターバルの度に私の元に来たし、試合の後だって真っ先に私の元に来た。その度に純粋な歓声とは違う声も聞こえるから、気持ちが沈まないわけじゃない。胸も痛くなるし、不安にもなる。

 だけど、この胸の痛みが湊の隣に居られる幸せの代償なら、私はどんな痛みでも耐えてみせる。私は、二度と湊のそばを離れる気なんて無いんだから。

「私を見つけてくれてありがとう」

 規則的に聞こえる湊の寝息を聴きながら、そっと囁いた。