30分ほどある休憩時間、湊の頭の重みを感じながら私も目を伏せる。

『大事なのは桜庭本人の気持ちでしょ?』

 ちぃちゃんの言葉を反芻しながら、頬を擽る湊の髪に頬を寄せた。

 ちぃちゃんは、ほかの女の子のやっかみについて、湊が悪いと言ったけれど、私はそんな風には思えなかった。だって、湊が来るもの拒まずに付き合ったのは、湊の無意識でのSOSだったはずだから。だけど、それを誰も……きっと湊本人も、それがSOSであることに気づいていなかったのだから。

 武田を見ている私を湊が見つけてくれなかったら、きっと……私は湊との接点を持つことも無く、地味な一生徒としてこれと言って目立つことも無く、ただただ地味で無難な高校を生活を送っていたと思う。

 私と会う事がなかったら湊は……どうしていたんだろう。また取っかえ引っ変え誰かと付き合ってみたりしてたのかな? まだ友香さんの傍で、満さんのフリを続けていたのかな? それとも……私じゃない他の誰かが湊の心を癒すために、湊の側に居たのかな?

 そのどれも、嫌だった。