「お前とヨリ戻すまで瀬川が元気なかったの、そいつも心配してたんだけど、一昨日話した時に、瀬川元気になってよかったなー、やっぱ笑うと可愛いよなぁとか言っててさ。俺居なくなったら、そいつ、瀬川狙いに行きそうな雰囲気なんだけど、その状況で俺、瀬川と電車ずらしてほんとにいい?」

 ちなみに奴は瀬川に彼氏いる事知らないよ、と武田は付け加えた。

「お前何考えてんの。良いとか悪いとかじゃなく、先に言えよ」

「先に言ったらつまんねーじゃん」

「えーと…………私、相馬くんのその話が初耳なんだけど……?」

 それ、本当に? 相馬くんは、中学時代の私にしてみたら数少ない話す機会の多い男子だったのは確かだけど、特に好かれているなんて感覚はなかった。私が鈍くて気づいてなかったの?

「そりゃぁ、あいつ 瀬川好きな奴居るから告れないって昔言ってたし」

 もう時効だろ? と言う武田を私はぽかんとして見てしまう。……だって、だって私好きだったの、武田だよ? それ相馬くん、私が武田の事好きって気づいてて、判ってて武田に言ったって事だよね? え、なにそれ。やだ。凄い恥ずかしい。

 湊の表情を伺えば、色々思うところがありそうな……呆れてるのと、ちょっと哀れんでるのと入り交じったような表情で私を見ていて、苦笑いして慰めるように頭をポンポンしてくれた。