「だからね、どうやったらシュートはいるの?」

「狙って投げりゃいいだけだけど」

 聞く人間違えた。この人、運動神経抜群なんだから。

 みんな帰った書道室。私の居場所は、当たり前のように湊の膝の上。誰もいなければいいんだけど、教室ではね、やめて欲しいの。

「でも俺、運動してるとわ、1度も見たことないよ? てか、とわ……走れるの?」

「…………一応、走れは……するけど」

 もちろん遅いけど。走れるかすら怪しいって、湊の中の私はどんだけどんくさいのか。実際どんくさいけど。

 話がそれたけど、確かに私は体育の時以外とこれと言って運動をしない。しないというか、苦手。球技なんて本当に全然……。ボールを狙ったところに投げたり蹴ったり全く出来ない。

「んー、教えてあげたいけど休み時間の体育館とか、カオスでとわ 来れなさそうだし……放課後は部活で使ってるし……。あぁ、週末、うちくる?」

「え?」

「兄貴のバスケゴール、放ったらかしになってるんだよね」

「……え?」

 ええ?

 困惑した私を他所に、湊が「決まりね?」と悠然と微笑んだ。