「大丈夫だよ。午前中も言ったけど、大したことじゃないから。今更引いたらダサいってだけ」

 少し拗ねた表情で湊は試合を眺める。コートの中では、ちょうど林くんが見事な速攻でレイアップシュートを決めていた。

「でも、ここまで来たらちゃんと勝つからね?」

「無理しなくていいのに」

「楽しいから大丈夫。こないだ、とわとバスケしてから楽しくて、久しぶりに家でひたすらシュート練習してたし」

 それであんなにシュート上手かったんだ。いとも簡単にシュートを決めていくから、ギャラリーの黄色い歓声がうるさい程だった。

「練習してたんだ。たくさんシュートしたから、ずっとキャーキャー言われてたね」

「……あれ、ホントうるさい。気ぃ散るからやめて欲しい」

 試合終了のブザーが、体育館に鳴り響く。予定通り、武田のクラスが勝ち上がってきた。