「俺、今 幸せだよ? だって、とわとこんな風に会えるんだよ? 昨日、親達話してるの凄い怖かった。とわの両親にしてみたら、俺は……友香と大差ないでしょ? 俺と居なかったら、とわは……あんな目に遭わなかったんだから。とわと付き合っちゃだめって言われても、おかしくないと思ってた。
 俺は、とわから謝ってもらうこと無いよ。俺にしてみたら、とわが謝る理由なんて、何処にも見当たらないよ。俺が巻き込んだし、俺が……いつまでもとわに会いに行けなかったんだから。
 だから、とわが許してくれて、こうして会えて……俺は、それだけで凄い幸せなんだよ」

 湊は私の髪をゆっくりと撫でて、その手でそのまま無理やり笑わせるかのように私の頬を軽く摘む。

「とわ、笑って? 俺、笑ってるとわが好きだって、前も言ったじゃん」

 せっかくのデートだよ? と切り替え上手の湊は笑って、これからどこ行くかに話を持っていく。

 そうだった。私と違って湊は切り替えが上手いんだ。去年の文化祭の時も、ずっと引きずっている私を、湊はいつも通りに笑って安心させてくれてたんだった。

 湊のこういう所、私は凄く……好き。

 でも、私にもそう簡単に見せようとしないけれど、湊はきっと胸の内には沢山の想いを抱えてる。友香さんの事も、満さんのことも、湊は誰にも見えないように笑顔の裏に隠してる。

 だから私は湊の傍に寄り添って、湊の心を満たしたい。湊が裏側に上手に隠してしまう心の傷を、癒したい。