「ごめんなさいね。湊、友達とバスケするってしか言わなかったから。てっきり男の子が来るんだと思ってて」

「バスケしてたよ。ね、とわ」

「それは、そうだけど」

 確かに一応ちゃんとバスケをしてはいた。でも、湊のお母さんが言いたい所はそこじゃないはずだ。

 紅茶の入ったカップを私と湊の前において、湊のお母さんは私達の向かいに座る。

「湊。あなた、とわちゃん連れてくるなら一言くらい言ってくれたっていいでしょう?」

「……やだよ」

 ぷいっと顔を背ける湊は、なんだか子供っぽく見える。

「とわちゃん、おうちの電話番号教えて貰ってもいいかしら?」

「は、はい」

 私が家の電話番号を伝えると湊のお母さんは電話をしてくるから、と席を外した。

 ……うちに電話、するのかな。湊のお母さんが、私の家に電話をかけるなんてすごくドキドキするし、すこし怖い。隣にいる湊の表情もすこし緊張しているように見えた。

 電話を終えてリビングに戻ってきた湊のお母さんは、お茶を飲んだら帰りは車で送ってあげる、と笑った。

 マンションの下に着くと、お母さんがエントランスまで出てきていた。