……でも、ふたりきりだったんだよね? ちょっと複雑。っていうか美人っていえば、友香さんも綺麗な人だったよね。清楚なお嬢様って感じの……美少女っていうか……
「とわ」
湊の手で、むにっと頬を摘まれた。
「どしたの? 今日なんか上の空だけど?」
「なんでもないよ。ちょっと……緊張してた、だけで……」
嘘じゃない。だって、私は男の子の付き合うの、本当に初めてだし。当たり前だけど、男の子の部屋に来たこともなかったし。ただちょっと、来る途中で悩みのベクトルが狂っただけで。
「親居ないって言っとけば良かった?」
「え、えと、それはそれで……」
別の意味で身構えるんだけど……。 実際言われて今ちょびっとドキドキしてしまっているんだけど。
「とわ可愛い」
頬を撫でる湊の手と少し熱っぽい眼差しに促されるままに目を伏せると、そのまま湊に唇を塞がれた。角度を変えて何度か唇が重ねられて、湊の舌が私の唇をくすぐる。いっつもどうしていいのかよく分からなくて、少し困る。少しだけ口を開けると、湊の舌が私の口の中に入ってきて、私の舌に戯れるように触れて擽ってくる。
微かな水音を立てて湊の唇が離れて、軽く触れるだけのキスをもう一度。
終わっちゃった。

