……男の子の部屋、初めてなんだけど。
あんまり片付いてない、その言葉は確かにその通りで、そのへんも含めて、湊っぽい。
サッカーの雑誌と、サッカーボールと、バスケットボールが転がっていた。
「なんか飲む?」
「ううん。大丈夫」
どこに居たらいいのかわからない私を見透かしたように、机の前のデスクチェアに座った湊は「おいで」と手を広げた。
呼ばれるままに近づくと、腕を掴まれていつもの様に膝に座らされた。微かに、椅子が軋んだ音を立てる。
「2人乗って壊れない?」
「俺ととわ位なら平気だよ。ベッドがいい? 俺のリミッターの方が壊れるかもよ?」
……え? ……湊の、リミッター?? え、それって……。
「だから、ここでいいの」
答えられない私にふふっと笑って、湊は私の頭をなでなでする。
「初めてだよ。部屋に女の子入れたの」
「え?」
「え? って。俺、まともに付き合うの初だよ?」
「え、だって…………えと……、友香さん、は?」
「あぁ。……友香が居たのは、あっちだよ」
あからさまにテンションが下がった湊が視線で示した先には、壁。
「隣。兄貴の部屋。そっくりそのまま残ってるからさ」
「……そう、なんだ」

