馬鹿馬鹿しくて復唱してしまう。
「無念晴らし?」

「そうだ。死界での死亡確認条件は生界と一緒だから省くぞ。死亡した者及びそれに近い者は無意識にでも無念と言うものを想像し逝くか生きている。それ等の情報が生界から引き継がれ、情報を基に無念を晴らす。そして成仏させる。これが仕事」

「無念が全て晴らせたら?」

「自らの手で己は天国に行くか、地獄に行くかを決定する。」

「へー。んで無念って何?」

「それは職業上言えない。でも3つだ。この期間中のみ前の体に乗り移れる。無念晴らしの個数は右腕に書いてある。制限時間は72時間。ご質問は?」

「制限時間はを過ぎると?」

「死んだ場所に縛り付けられ、関係者の記憶は一切削除される。」

眠気が覚めるほどの悪寒が走り嫌気が指した。

「幸運を祈るよ。」

と一言。そして彼は消えた。

二日間時間があるから。と最初はぶらぶら町を眺めていた。そして途端に家族が心配になり、公園に向かう。公園にはごった返す人が居て、家族が居た。ほっと胸を撫で下ろす。

「凛々子生きてたのか!」

いつもは泣き顔を見せない兄だが、みっともない泣き顔で迎えた。

この日は一日かけて、私は死んでしまった事、無念晴らしをしなければいけない事を切実に話した。

「わかった...凛々子は死んだのか...わかった。無念しっかり晴らしてこい!」

嗚咽混じりの声で父が言う。兄と母は声が出ず、パクパクしている。

そして明日家族を離れ無念晴らしに向かう凛々子だった。