私はこの世で過ごす最後の夜をこの避難所の前で越した。

そして日が高く上った頃、陽菜はココアをもって私の横に座る。

「陽菜...」

「昨日はごめんね。一昨日凛々子のお母さんから亡くなったって聞いてパニックになっちゃったでどうしたの?」

「仲直りに来たの。私が死ぬ前、私が勝手に突き放しちゃったから。」

「あぁ。何でだったの?」

私は思う存分正確に陽菜に話した。あの時の気持ちを。

「ごめん!」「ごめん!」

二人の声が重なる。そして笑った。

その時私の体は実態が消えていこうとしている。

そして、ナルシスト黒君が来て、

「お疲れ様。無念晴らしはおしまい。さぁ逝く先はどっち?」

「私は、生前に大きな過ちを犯してしまって、それの尻拭いのように無念晴らしにしてしまった。こんな卑怯者には地獄がお似合いよ。」

「本当にいいのか?」

「えぇ。地獄え逝くわ。」

「ちょっと待って。」

「陽菜?」

「凛々子ちゃんはこんな下らない事っていってたけど、私は嬉しかった。無念晴らしと言うものを使ってでも仲直りしようとしてくれた。そんな凛々子ちゃんは天国に逝って。」

「一寸待って、陽菜はナルシスト黒君の事見えるの?」

「見えるよ。だって私...死んでるんだもの。」

衝撃が走る。

「え?」

「私も死んだの。津波で。だから一緒に天国に行こう。」

「分かった。陽菜はやっぱり代えが利かない人だよ。」

「黒、二人とも天国でお願い。」

「りょーかい。じゃあ天国でよき日々を過ごしてください。」

「じゃあね。私たちの世界。」

こうして私は天へ上った。

End