その日のお昼休みも、私と百合は別々で食べる。もうこれが当たり前になりかけている気がした。

「まだ仲直りしてねぇのかよ」

迷惑そうな顔を誤魔化しもせずに私を見ながら、奏史はカレーパンの袋を開ける。

「う、うるさいな!今データを集め終えたところだわ!」

私もクリームパンの袋を開けながら言った。

「数学で今の関係を表すなら、私たちは間違いなく反比例かな」

友達と仲良く話す百合を見ながら言うと、「はあ?」と奏史は冷たく返す。

「ワイ=エックス分のエー。xの値がニ倍、三倍になると、yの値が二分の一倍、三分の一倍になるのが反比例」

「それは知ってる。何が言いたいんだよ」

「仲良くしてる時は、比例。xがニ倍、三倍になれば、yもニ倍、三倍になる。でも今は仲良くないから反比例」

「つまり、仲がいいと一緒に進んでいけるってことかよ」

奏史は相変わらず呆れたような目で、私を見つめる。私はそれに気づかないフリをしてパンを頬張り続けた。