そんなことを考えながら、数学の問題を解いていると、「七海ちゃん…」と声をかけられた。

「えっ!?百合!」

ずっと話していなかった百合が、なんと自分から話しかけてきた。驚いて思わずシャーペンを落としてしまう。

「ねえ、今から時間ある?家庭科室に来てほしいんだけど…」

百合はモジモジしながら言った。私は黙って頷く。

荷物をかばんに入れ、私と百合は話すことなく廊下を歩く。部活をしている生徒たちの喧騒が、いつも以上に騒がしい。

家庭科室は、家庭部が部活をしている場所だ。しかし、今日は活動日ではないので誰もいない。

「これ、一緒に食べよう?」

冷蔵庫から、百合はケーキを取り出す。

「あのね、クラスメートから七海ちゃんが私と仲直りしようと行動してるって聞いて…。その…あんなこと言ってごめんなさい!」

百合は頭を下げて謝る。私は驚いて一瞬固まってしまった。

「な、何言ってんのよ!謝らなきゃいけないのは私よ!百合は努力してたのに、バカにしてごめんなさい!」

素直に、心からやっと謝ることができた。わだかまりが解けるように、二人同時に笑う。