次の日、私は今日こそ百合に謝ろうと頭の中で謝罪の文を考えていた。

有名な作家のような素晴らしい文は作れない。与えられた数式は解けるのに…。

百合は、一から小物などを作ることができる。ゼロから始められる百合と、一があってようやく解ける私。百合の方がすごい。

素直になろう。素直に謝ろう。

そう言い聞かせながら教室へと向かう。

百合と目があった。私は、「おはよう」と言おうと口を開ける。その刹那、百合の友達に「おはよう!」と百合は声をかけられ、さらわれてしまった。

何の嫌がらせか、私が百合に話しかけようとすると、決まって先生や生徒が間に入ってくる。神様のイタズラか?それとも、数学者たちに弄ばれているのか?

結局、話しかけることができないまま、放課後を迎えてしまった。



放課後、百合は友達に連れられ、早々に教室を出てしまった。私は謝るのを諦めて図書室に向かう。

図書室には、私がリクエストした数学がテーマの本や、数学者たちの歴史が書かれた本がたくさん置いてある。大好きな数学に囲まれて胸の痛みを晴らすことにした。

一:一.六一八(およそ五:八)が人間の目に最も美しく見えるバランスで、黄金比と呼ばれている。パリの凱旋門やパルテノン神殿にも黄金比が隠されているらしい。いつか生で見てみたい。