「友達とケンカしたことないアンタにわかるわけないでしょ!!放っておいてよ!」

「じゃあ、昼飯一人で食えよ!!」

「アンタが寂しいくせに!!」

部室で大声で騒ぐ私たちを見て、何事かと驚く先輩たち。奏史は私の腕を掴むと、部室の外へと連れ出す。このことには文句はない。騒いでたらさすがに迷惑でしょ。

「お前さ、もう行動しろよな!数学の天才のくせに常識的なことは欠けてんのかよ」

「はあ!?数学を侮辱したら許さないから!!」

言い争いは数分ほど続き、お互い罵るネタがなくなったのか、互いに口を閉じる。

しばらく黙ってから、奏史が言った。

「俺たちの身の回りにあるインターネットとかって、何であるんだよ?」

「それは、昔の数学者たちが素晴らしい数式を残してくれたからよ!」

私がそう答えると、奏史は「じゃあさ…」と言った。

「その数学者たちって、どれくらい昔の人か知ってんのか?」

「えっ……」

私は固まる。歴史は苦手な方だ。

沈黙を続ける私に、奏史は「ふふっ」と笑う。

「違うからね!わかってるけど、アンタが答えたいって思ってるだろうから言わないだけよ!」