家族がいた。
父がいて、半分しか血が繋がっていないとはいえ兄が二人もいた。

しかもお金持ちで、有名人で、手放しで喜ぶような事柄なのかもしれない。
でも、驚くくらいに、戸惑い以外の気持ちが出てこないのは何故だろうか。


天涯孤独ではなく、血の繋がる家族が私にはいた。頼れる存在がいたと喜ぶべきなのに…。

なのに、どうしてもそんな気持ちになれなかった。


実感が沸かないからだろうか?
あまりにも非現実的な事すぎて、ついてけないからだろうか。


ぐるぐると、頭の中で色んな事を考えているうちにどのくらいの時間が経っていたのかわからないが、それでも窓の景色があまりにも変わっている事に気づいてハッとする。

いつ高速を降りたのだろうか、知らぬ間にこんなにも高層ビルばかりの土地にきていたのだろう。





「もう、つくよ」



そう言葉をかけらてからすぐに、よくテレビなんかで芸能人のお宅拝見なんかで見るようなタワマンの駐車場に入っていくので余計に自分との違いに彼らとの遠さを感じた。


こんな所に住んでいる人が本当に私の兄妹なんだろうか。