「了解しました。家は大丈夫です。そしてそうですね。まず父に会うよりも説明していただけるのは有難いです。正直恨むとか恨まないとかそういう感情は突然すぎて何も出てこないので、それは会ってみてどう思うかわからないので何とも言えませんが。

母を捨てた訳でもないみたいですし、浮気してた事に関しては人としてどうかと思いますけど、既婚者に手を出した母にも罪はありますし。
でも母が最期に私を頼んだなら会ってみたいなと純粋に思いますが、それでもやっぱり色んな事を急に会って聞くより、こうして彼方たちから聞けた方が冷静に聞ける気もしますし」


多分目の前で父と会ってしまえば、やっぱり複雑な気持ちも出るだろうし今よりももっと動揺してしまい話どころでなくなってしまうかもしれない。


「わかったそうしよう。気になる事があったら今聞いていいよ。
ただ色々詳しい話は家についてからの方がいいだろうから、少し気持ちを落ち着けたいだろうし休んでもいいよ」


そう言われて少しだけ悩む。
確かにこの車内で色んな事を問い詰めて聞いても落ち着かないし、私自身も少し考える時間が欲しかった。


「お言葉に甘えて、少し考えたい事もあるので車内では休ませていただきます」



そう伝えると、運転していた弟の方がちらりとバックミラー越しに視線を合わせたと思うと少しだけ車内の音楽を上げてくれた。

態度は気に食わなかったけど、それでも気を遣ってくれたのだろうと思い少しだけお辞儀をしてから窓に視線を移す。