そして口に入れる珈琲の美味しさに吃驚する。
多分この一杯で凄い値段するんだろうなぁと、しみじみ感じていると隣から声をかけられる。


「この珈琲はこのミルクとハチミツを入れて完成形だぞ。入れてみろ」

「凌平。それは好みだから」

「でもこれは絶対入れた方が美味いから。マスターがオススメのとこのをそのまま全部買ってんだから」

「まあそうだね、凌平じゃないけどこの珈琲に合うものを買ってるから入れても美味しいよ」


真一さんは凌平の行動に少し呆れたように笑いながらも、進めてくれるのでミルクとハチミツを入れてみる。


「これお店以外で初めてみました」

「ああ、ハニーデッシャー?このハチミツ買うとついてくるんだよ」


ハチミツなんてスーパーでしか見たことないからいくらなのか想像もつかないなぁなんて考えながら、珈琲に入れたミルクとハチミツを混ぜてからもう一度口に入れる。



「美味しい…」


不意に声が出てしまうくらい美味しくて吃驚する。ミルクでマイルドになりハチミツが珈琲の味を引き立てていてこれは確かにこれを入れた方が美味しいという凌平の気持ちがわかった。


「なっ、言ったろ」

「凌平はでも入れすぎで、それは珈琲と言えないけどね」


確かに、凌平のカップに入っているのはカフェオレよりもマイルドそうな色のものだ。