「ん?そうだね」


お兄さんの方がまた冷静に軽く笑って言うものが、また子供をあやすようで面白くて笑ってしまう。


「なんだよっ」


私が笑うのがいけないのだけど、それでも耳まで真っ赤にしてる姿がとても可愛く思えてしまい益々笑ってしまう。


「ふふっこんなに笑ったの久々」


ひとしきり笑い終えた私はそんな自分からでた言葉なのに自分で吃驚してしまう。


あ……、そうだ、こんなに笑ったの久々だ…。
お母さんが亡くなってから、こんなふうに声を出して笑ったのは初めてだ。

もう、笑えないんだと思っていた。
悲しさがどこかずっとつきまとっていて、何をしていてもこんなふうには笑えなかったのに…。



「やだ……、なにこれ……すみません。
なんだろう、面白かったのに、なんでこんな涙が出るんだろう。面白すぎてかな」



なんだか笑えた自分に、急に涙が出てきてしまった。
泣きたい訳じゃないのに、なのに止まらない涙に自分でも戸惑ってしまう。

あんなに笑った後に、こんな急に泣くなんて情緒不安定すぎる自分を隠すように誤魔化そうとする。



「っだよ、笑ったり泣いたり忙しい奴だな。
おまえっ、こんな目の前で泣かれたからこうしてやるだけだからなっ」


慣れあうつもりじゃねえぞっなんていいながらも、私の涙を親指でぬぐってくれたあとぎこちなく頭の2、3回ぽんぽんっと撫でてくれた。