ドレスを着るとまではいかなくとも王妃に招かれたお茶会、普段よりお洒落をさせてもらい王妃の私室を訪れた。

ナタリーに扉を開けてもらうと中にはすでに王妃とアレクシスがいて、ティアナは教わった淑女の礼をした。

「突然のお誘いなのに来てくれてありがとう、ティアナ。
さあ、座りなさい」

王妃のお許しをもらいナタリーに椅子を引いてもらい座る。
優雅に、着実に進むお茶会に緊張しながらも、ここ最近何度も教わったマナーはティアナにしっかり身に付いていて、王妃は満足そうに頷いた。

「完璧だわ、ティアナ。
もう立派な淑女ね」

“お褒めに預かり光栄です”

はにかみながらも嬉しそうに微笑むティアナに王妃は頷く。

アレクシスではないが、娘になるのなら香水や化粧、ドレスや装飾品など控えめで、ぺちゃくちゃ喋る九官鳥のような小娘でもなく、地位など関係なく嫁いでくれる目の前にいるティアナのような娘がいいと、王妃は再確認した。

「ティアナ、これで貴女は十分婚約者としてのマナーを身につけました」

満足そうに微笑む王妃のその言葉に、ティアナは驚き目を見開いた。
これまでの様々な講義やレッスンの思惑を理解した瞬間だった。