ティアナを口説け、ユアンに奪われるな。
とナタリーと宰相に何度も言われるアレクシスは、言われなくともユアンに奪われる気などさらさらなかったが、今まで女性に興味がなかったこともあり、どう口説けばいいかわからず思案していた。

ユアンのようにダンスレッスンの相手をしてみたり、勉強の時に様子を見に行ってはたまに教えたりもしてみたが、ナタリーに言わせれば、ユアン殿下の真似事でアプローチ出来ていると御思いですか?だそうだ。

なら他にどうすればいいのかと思っていたそんな中、王妃からティアナとアレクシスにお茶会の招待状が届いた。

どうやらユアンが本気でティアナにアプローチし始めたのが王妃の耳にも届いたらしい。
王妃がこのお茶会で何をしようとしているのか、今の段階では皆目検討もつかないが、たまに強引な方法で物事を進めることのある方だ。

一体何を考えておられるのか……。

気が重くなりながらも断ることなどできず、アレクシスは重たい息をついた。