【ティアナはティアナよ?
みんなが持ってるはずのものを持ってなくて、みんなが持ってないはずのものを持ってるだけ】

【うん……】

【私達は、この不思議な力を持っているのがティアナでよかったと思ってるわ】

【……ありがとう】

その言葉にティアナは泣きそうな顔をして笑う。

動物達はそう言ってくれるけど、ティアナは怖かった。
この不思議な力のことを知られたときに離れていく人々が、大切だと思っていた人達に“化け物”だと罵られる日が来ることがーー。

「ティアナ」

後ろから聞こえた声にティアナは目に浮かんでいた涙を慌てて拭い振り返ると、そこにはアレクシスがいた。
アレクシスがティアナの隣に座ると、突然動物達がアレクシスに群がり一斉に鳴きだす。

「な、なんだ……?」

【アレクシス、ティアナをユアンに取られちゃ駄目よ!】

【ティアナが国に帰っちゃうなんて嫌だよ!】

【早く結婚しちゃいなよ!】

それぞれ言いたいことを伝えるがティアナ以外の人間には、キューキューやピチチチチやクークーとしか聞こえない。

「ティアナ、これらは腹でもすいてるのか……?」

困惑したアレクシスの言葉に、ティアナは眉を下げて微笑んだ。