【やっぱり棲み慣れた場所が一番いいと思うの】

【そうかな?違う場所に移動するのもワクワクして楽しいものだよ?】

【それより寝床が大事だよ。
ふわふわの寝床がないとゆっくり眠れないからね】

【私は食事が重要だと思うわ。
お腹いっぱいにならないと幸せな気持ちにならないもの】

動物達が井戸端会議のように集まって話しているのをティアナは苦笑混じりに聞き入っている。
どうやら、内容は先日のユアンの“妃にならないか”発言についてらしいが、少しずつ“自分にとって何が重要か”に内容が変わっていた。

【ティアナは?ティアナはそのうち、ここを出ていってしまうの?】

子リスがティアナの手に乗り首を傾げると、ティアナは小さく微笑んだ。

【わからないわ。
だけど、私みたいなのには婚約者は務まらないから……そのうち出ていくと思うの】

【私はティアナにずっとここにいてほしい。
ティアナのこと、大好きだもの】

【ありがとう。
私も、大好き……】

「なにが大好きなんだい?」

頭上から声が聞こえ驚いて顔をあげると、そこには不思議そうな顔をしたユアンがいて、動物達は一斉に走り去ってしまった。