【……殿下?】

「そのまま寝ると風邪をひくぞ」

言いながら隣に腰かけたアレクシスはティアナを抱き寄せると自分の膝の上にその頭を乗せた。
所謂膝枕の状態にティアナは慌てて起き上がろうとするが、そっと頭を押さえられてそれは叶わなかった。

「疲れているのだろう?少しだけ寝ていろ」

【でも、殿下の足が疲れちゃいますよ?】

「こんなことで疲れるような足は生憎持ち合わせていない」

会話をしている中でも、ティアナの目は閉じたり開いたりをゆっくり繰り返す。

ああ……もうダメ……。

かけられた上着から香るアレクシスの匂いにまるで抱き締められたときのような安心感を覚え、睡魔に誘われるままついに目を開けることが出来なくなりそのまま眠りについた。