最後の婚礼の儀に向けては王妃がそれはもう楽しそうに準備を買ってでていた。

「やっぱり娘はいいわよねー、綺麗なドレスにアクセサリー、選ぶのがすごく楽しいわ」

毎日のように行商を呼んでは、あれがいい、これがいい、と着せ替え人形のようにドレスを着せられていた。
婚礼の儀式のドレスに決まりはないらしく、スタイルがわかってしまうようなピッタリとした生地のドレスや逆にふわっと裾が広がるドレスを選んだりと王妃は機嫌が良さそうに選んでいる。

「あー、もう、ティアナはどれでも似合うから逆に困るわねー」

「寧ろ、何故ティアナ本人でなく王妃が悩んでいるのです」

たまたま仕事が落ち着いたアレクシスが近くのソファーに腰掛け、毎日のようにやっているドレス選びを見に来ていたのだが、王妃が率先して選んでいる姿に弱冠呆れているようだった。

「あら、こういうものは経験者の意見も必要よ?
そうでしょう、ティアナ?」

話を降られ慌てて頷くと、王妃は満足そうに微笑んだ。

「こっちのマーメイドラインもいいしロングトレーンも捨てがたいわ。
そう言えば、ティアナはどんなドレスが好みかしら?」

「……今更それを聞くんですか」

呆れ果てたようなアレクシスに苦笑いをする。
王妃が関わるドレス選びにはまだまだ時間がかかりそうだった。