「姉さんの周りにはいつも動物がいて一見穏やかな光景に見えますが、実は獰猛な動物も手懐けているんですよ!?」

「ほう?頼もしいではないか。
なにかあればその獰猛な動物が助けてくれるのだろう?」

「とんでもございませんっ!
そんな獰猛な動物が暴れまわったら殿下が傷つけられてしまいます」

うるうると此方に向けてくるその目は正しく媚びている時の目。
その目を向けられていることに慣れていたアレクシスはすぐにこのアネッサの目的がわかってしまった。

「信憑性がないが、仮にそれが真実だとしたらどうすべきか?」

「心苦しいですが、そんな姉さんを傍に置いておくのは危険かと……どこぞに監禁……いえ、護衛付きで遠いところに留め置いた方が懸命かと」

……今、監禁と言ったな。とアネッサをじろりと睨み付けるが、天井を見て考えているアネッサは気づいていないようだった。

「しかし、それではフライハイト国と婚約者を奪い合い、勝ち取ったという面目がたたないが」

「わ、私が!私が姉さんの代わりになりますっ!」

ついに来た!と言った様子でわかりやすく食いついてきたアネッサにアレクシスは口角を上げる。
アネッサの本来の目的が見えた瞬間だった。