舞踏会でティアナに婚約者に選ばれてから数ヶ月。
ティアナは本格的に皇太子妃になるための勉強、マナー、結婚に向けての儀式などを習うべく日々猛進していた。

ティアナが自分との結婚のために頑張っていることに嬉しく思う反面、以前のように疲弊させてしまうのではと心配もしていたが、今回はナタリーがしっかりスケジュール管理してくれているので大丈夫ですよ。と言われたのでそれを信じることにした。

今問題にしたいのはそれではなく、ユアンが連れてきた女性、ティアナに何処と無く似たその女性はにこにこと此方を見つめてくる。

久々に痛む頭を堪えながらにこめかみを押さえてユアンを一瞥すると、ユアンは肩を竦めて見せた。
自分から話すつもりがないらしいユアンに小さく息をつき、再び彼女に視線を移す。

「お前は何者だ」

「はい、アネッサと申します。
ティアナ姉さんの妹です」

はっきりと言い放ったその言葉にさらに大きく息をつく。
大体は想定していたが、ユアンの様子から見ても間違いはないらしい。

ティアナに似たアネッサと名乗った妹らしい女性は、どこかティアナとは違った笑みを浮かべて微笑んだ。