「その事を伝えるためだけに青い鳥を探した。
俺にとって、幸せの象徴である希望の青い鳥はティアナだった。
伝わらないこともわかっていて、あの手紙を書いた」

【……わかりませんよ、あれだけじゃ……】

「そうだな。
だが、伝えるならティアナの顔を見て、直接伝えたいと思っていた」

溢れる涙を親指で掬いとられるも、ティアナはぽろぽろと涙を流しながら微笑んだ。

【私にとっても、殿下が青い鳥だったようです。
秘密を知ってもなお、変わらずにいてくれる……私だけの幸せ……】

「俺は婚約者に香水などつけない、化粧もしない、ドレスも装飾品も派手でない、お喋りがうるさくなく、地位目的でない適齢期の女性を理想とした。
ティアナにとっての理想の男性は……」

【変わることのない愛情を与えてくれる方です……】

「俺の愛情は変わるかもしれないが、それでもいいか?」

その言葉に目を丸くすると、アレクシスは柔らかく微笑みそっと涙の伝う頬に口づけた。

「今日より明日、明日よりも明後日、俺はティアナへの愛情を増やしていく自信がある。
変わらない愛情など持ち合わせてはいないが、それでもいいか?」

【っ……はいっ!
受けとめてみせますっ!】

「上等だ」

それでこそ、理想の婚約者だと笑うアレクシスにティアナも微笑んだ。
青い鳥は飛び立ち空でヴォルフと旋回し、地面では動物達が目を細めている。

大好きな動物と、大好きな人、変わることのある愛情をしかと受けとめてティアナは晴れ渡る空を見上げた。