「なんだ、また来たのか」

【ふふっ。
ここが気に入ったから暫くいることにしたそうです】

「そうか、好きなだけいるといい」

青い鳥は嬉しそうに鳴くとティアナの肩に飛び乗り頬擦りしてくる。
擽ったさに目を細めると、不意にアレクシスから貰った手紙を思い出した。

【殿下、私も聞きたいことがあったのですが】

「なんだ?」

【招待状と一緒に送られてきた殿下の手紙です。
どうしても意味がわからなくて……】

“幸せの象徴、希望の青い鳥は身近に”

確かに青い鳥は幸せや希望の象徴と言われているが、身近にとはどういう事なのだろうかとティアナはずっと考えていた。

「婚約者候補から外すように言われその場では何も言わずに国に戻ったが、ティアナを納得させるために動物達と意思を通わせようと毎日中庭に行っていた」

【毎日、ですか?】

「ああ、暇を見つけては何度も。
だが、中庭に行っても何かが足りなかった。
毎日あった幸せがそこにはなかった」

【幸せ……?】

「俺は毎日、幸せに会いに中庭に足を運んでいたのだとあの時痛感した。
俺にとっての幸せはあんなに身近にあったのだと、ずっと傍においておきたいと願い、その幸せに希望を持った」

じっと見つめられ目を反らすことなど出来ず、ティアナもアレクシスを見つめ返した。
痛いくらい胸が高鳴り、その言葉の続きをじっと待っているとアレクシスがそっと顔を近付けてきた。