「それで、ナタリーに中庭に行けと言われたのだが……ティアナは動物に好かれる体質なのか?」

あんなにたくさんの動物は初めて見たぞ。
と言われティアナは少し困ったように微笑む。

【そう、ですね……。
昔から、動物達とは仲良しです】

「俺は、よく逃げられる」

【……触ってみたいですか?】

ティアナの言葉にアレクシスは暫し考えると、そうだな……。と呟いた。
それなら……。とティアナは近くの茂みに近づくと草を掻き分け出す。
ティアナの唇が動いているのに気づき読みとろうとするが、その前にティアナが体を起こした。

【子ウサギです。
この子なら逃げたりしませんよ】

「……この庭は繁殖までされていたのか」

ティアナが簡単に子ウサギを見つけたことに驚きつつ、近づけてくる子ウサギをじっと見つめる。

怖くないですよー。とティアナは子ウサギの手を動かしアレクシスを招く仕草をさせる。
そっとアレクシスが子ウサギの頭に触れると、子ウサギは気持ちよさそうに目を閉じた。

【気持ちいいそうですよ。
殿下、撫でるのがお上手だそうです】

「そ、そうか……」

子ウサギを愛しそうに見つめるティアナ。
そのティアナに目を奪われたアレクシスは、今まで感じたことのない気持ちになっていた。