【来たよ来たよ】

【うるさいね、ずっと馬車の中で喚いてる】

【自分は悪くないってずっと言ってる】

フライハイト国の王宮の中庭で動物達の話を聞いていたティアナは、ふと落ちた影に空を見上げるとヴォルフが旋回していたのに気付いた。

【ヴォルフ!】

呼び掛けるとヴォルフはゆっくりと高度を落とし、やがて地面に降り立った。
じっと見ていると、ぶるぶるっと翼を震わせてから、小僧に渡してきてやったぞ。と言われた。

【ありがとう、ヴォルフ】

【あの小僧、せっかく届けてやったのに紙を見たら“これだけか”と呟いてたぞ】

呆れた様子のヴォルフにティアナが苦笑していたら、えっ!?と驚いた声が聞こえ、振り返るとユアンが顔をひきつらせて立っていた。

「え、コンドルだよね?猛禽類の」

【はい、えっと……ヴォルフです。
お友達です】

「友達っ!?」

個性的な友達だね……?とひきつった顔のまま言うユアンに、お前の知り合いは失礼なやつばかりだな。とヴォルフに言われティアナは苦笑いするしかできなかった。