「自分の言った条件に合う。
ただそれだけで連れてこられたティアナ様にご不便がないようにと……。
あと、私も少しは唇の動きが読めるからお付きに選ばれたのです。
筆談は必要ないですよ?」

微笑むナタリーのその言葉にティアナはまだ戸惑うも、やがて小さく頷いた。

【ありがとう、ございます】

「とんでもございません」

凛としてお辞儀をするナタリーは、とてもしっかりしたお姉さんのようだった。

「さて、ティアナ様はまだ混乱されているようなので落ち着くお茶でもいれましょうか」

カモミールティーでございますよ。とナタリーは廊下に出してあったワゴンを室内に入れテキパキと用意をする。
その手際のよさにティアナは興味津々に見つめていると、やがていい香りが室内に充満した。

「どうぞ、召し上がってくださいまし」

【……ナタリーさんも一緒に飲みませんか?】

「私のことはどうぞナタリーとお呼びください。
普通、メイドと仕える主人とは飲食を共にしないものです。
ですが……」

言っている最中にみるみる残念そうな顔をするティアナを見兼ね、ナタリーはティアナの前にあった椅子に、失礼します。と一言言って座る。
ティアナはパチパチと瞬きすると、ナタリーは優しく微笑んだ。

「誰も見ていない、二人きりの時はお言葉に甘えさせていただきます」

その言葉と笑顔にティアナは笑顔を見せた。