講義が終わり本を持って廊下を歩いていると、前方からアレクシスがやって来た。

「講義の後か?」

【はい】

「シュトルツ国の歴史……また眠くなりそうな講義だな」

ティアナが持っていた本のタイトルを見て顔をしかめたアレクシス。
そうですね。とはとても言えなくて苦笑いをすると、アレクシスは不意に頭に手を伸ばしながら顔も近づけてくる。
なんだろうと首を傾げていると、アレクシスはそのままティアナの耳に唇を寄せて、夕食後、ナタリーと謁見の間に。と小声で囁いた。

囁いたときに僅かにかかった熱い吐息に思わず顔が赤くなり耳を片手で押さえると、アレクシスは口角を上げながら離れ、頭に花弁がついていた。と今しがた取った花弁を見せてきた。

今の、絶対わざとだ!とアレクシスを睨むが、アレクシスは楽しそうに笑いながら去っていった。