「うちには息子も娘も孫もいませんから。じゃっ。」 『はっ!?ちょっと待てよ!』 「だから誰なんですか!」 『明人だってば!』 ―ん…? あきと…アキト…明人!! 「あぁ!明人か!久しぶりじゃん。」 『気付くの遅ぇーよ。』 莉緒ちゃんが心配そうに俺を見上げた。 「大丈夫だよ。ただの知り合いだから。」 そう言って髪をなでると 『ただのって何だよ!』 と電話の奥からツッコミがきた。