次の週末に俊は帰ってきた。
「今日、親いるし、外に出ようぜ」
「うん」
「先週、お父さんとお母さんに会ったよ、学校の友達と食事に行ったんだってね、楽しかった?」
「あー、グループでしないといけない課題つーかレポートみたいなのを夏休み終わりに仕上げないといけなくてな、先週はまあ親睦会みたいなもんだ」
「そっか大変だね」
「ホテル行く?」
「ごめん、今日はダメな日」
「なんだよ、もう」
「……ごめん、ご飯奢るから」
「んーまあ仕方ないけどさ」
俊に電話がかかる。
「いいよ、出て」
俊は着信を見て琴菜から少し離れる。
5分程して戻ってきた。
「嬉しそうだね」
「来月、サッカーのチケット取れたって」
「観に行くの?」
「勿論行きたい、楽しみ」
「誰と行くか聞いてもいい?」
「学校の友達、今一緒にグループ組んでるやつ」
「男?」
「ん?女だけど」
「二人で行くの?」
「そこまではまだわかんね、チケット取れたってかかってきただけだから他にいるかもだし、仕方ないだろ、行きたいんだから」
「いいけど浮気はしないでよね」
「もし、二人で行ったら浮気?」
「二人~、んー悩むけどちゃんと言ってくれたら許すかも」
「サッカーはじゃあ許して、もし、二人でも」
「だからまたはっきりしたら言ってね、最近秘密が多い」
「会わないと言うの忘れるんだよ」
「メールも減ったし」
「琴菜は口うるさくなったな」
「口うるさくないもん、今でもまだ我慢してるし、全然俊が足りないんだもん」
俊と腕を組んで歩く。
「俺も我慢してるんだぜ」
久々に琴菜に笑顔が戻った。
一ヶ月程たったある日
(なんか梅雨だからかなーダルい、生理もまた量多いし)
夜、スポーツニュースを見ていた。
(あー今日か、サッカーの試合、結局二人で行くって言ってたな)
映像に俊と女が応援している姿とゴールを決めて二人で抱き合ってるところがニュースで流れた。
「……俊……」
琴菜はフラッとなる。
「おい、琴菜」
父親の声がかすかに聞こえた……
俊には友達からメールが次々に入ってきていた
‘テレビみたぞ’
‘相手違うんじゃないか?’
‘琴菜マネは?’
高校のサッカー部連中からだった。
何だよ結構みんなテレビ見てんだな、琴菜は見たかな、あいつはスポーツニュースは見ないだろ
‘俊、琴菜ちゃんは知ってるのか?’
淳基からのメールだった。
‘行くって言ってあるよ、一緒に行った友達がチケット取ってくれたし二枚しかなかったから、チケット取れたときにちゃんと言った’
‘全く……フォローできないからな、そっちで楽しくやってるみたいだけど栞ちゃんも琴菜ちゃんのこと心配してたよ’
‘心配?なんで?’
‘体調悪そうって’
‘まあみんな見てる奴いたことだしちゃんと言い訳しとくんだな、どう見てもカップルにしか見えないし’
‘わかった’



